藤本茂さんの著書『現役トレーダー シゲルさんの教え』は、投資歴68年を誇る87歳の現役デイトレーダーによる、独自の投資哲学やノウハウが詰まった一冊です。
この本は、初心者でもわかりやすい用語解説から始まり、投資における考え方や姿勢、成功を支える生活習慣など、あらゆる面で具体的かつ実践的な知識を提供しています。
以下では、特に印象的なポイントを3つの観点から考察します。
考察① 投資に最適化された生活リズム
シゲルさんは、日々の生活全てを投資に最適化するよう心掛けています。
例えば、毎朝2時に起床し、米国市場の動向を確認した後、新聞やニュースを活用して幅広く情報収集を行っています。
新聞を読む際は、興味のない分野にも目を通すようにしており、これが市場を俯瞰する力を養うきっかけとなっているようです。
さらに、朝の散歩では街の動きや経済の兆候を観察し、新たな投資のヒントを得ています。
例えば、駅前の店舗の入れ替わりや新築住宅の建築状況をチェックするなど、日常の中から情報を拾い上げているのが特徴的です。
これらの習慣は、投資の判断材料となるだけでなく、長期的な健康維持にもつながっています。
日々の小さな努力が大きな結果を生むことを、シゲルさんの生活リズムが物語っています。
考察② 投資家としての姿勢と反省の重要性
シゲルさんは、投資における反省を非常に重視しています。
すべての取引後にノートに記録を残し、勝敗の要因を分析する習慣を持っています。
このプロセスを繰り返すことで、自らの過ちを修正し、成長を続けてきたことがわかります。
また、成功体験に依存するのではなく、常に現状を客観的に見つめる姿勢も印象的です。
過去の成功例に固執せず、目の前のチャートや市場の動きを冷静に判断することで、状況に応じた最適な選択を行っています。
このような柔軟性と客観性が、長年の成功を支える要因の一つといえるでしょう。
さらに、68年という長い投資歴の中で、シゲルさんは大きな損失も経験しています。
バブル崩壊で10億円の資産が2億円まで減少した過去がありながらも、それを糧に再び資産を大きく増やしたことから、失敗を成長の糧とする重要性を教えてくれます。
考察③ 短期トレードの技術とリスク管理
シゲルさんは短期トレーダーとしての経験を活かし、独自の取引手法を確立しています。
その一つが「126のルール」と呼ばれる買い方です。
この方法では、まず少額を試し買いし、その後の市場の動きを見ながら徐々に買い増ししていきます。
この戦略により、リスクを最小限に抑えつつ、より大きな利益を狙うことが可能となります。
また、収益性の高い株を選ぶ際には、経常利益や純利益といったファンダメンタルズ（企業の経済的基盤）を重視しています。
これにより、長期的な利益を見込める企業を選定し、安定した収益を上げる仕組みを構築しているのです。
さらに、短期トレードにおいても、日々の市場観察と慎重な準備が欠かせないことをシゲルさんは強調しています。
市場の変動に柔軟に対応する姿勢と、計画的なリスク管理が成功の鍵であると考えられます。
まとめ
『現役トレーダー シゲルさんの教え』は、長年の投資経験に基づく知識と哲学が詰まった貴重な一冊です。
投資を支える生活リズムや反省の習慣、リスク管理に基づいた取引手法など、実践的な内容が多くの読者に新たな視点を提供しています。
特に、日常の些細な行動や失敗を成長の機会と捉える姿勢は、投資だけでなく、あらゆる分野において参考になる部分が多いといえるでしょう。
初心者から上級者まで幅広い層にとって、学びの多い一冊であり、投資に対する新たなモチベーションを得られることは間違いありません。
ぜひこの本を手に取り、シゲルさんの考え方を日々の生活や投資活動に取り入れてみてください。
